9月1日2010/09/01 15:19

今日は、私の出演する二つ目のコンサートについてお話させていただきます。
10月2日の夕方、この日の午後の日本の歌のコンサートとは会場を変えて、仙台市青年文化センターのコンサートホールで行われる、4人の歌手によるガラ・コンサートです。私は、日本の歌のコンサートが終わりましたら、ダッシュで移動!~いいえ、時間は十分にありますので、ゆったり移動いたします(笑)。
このガラ・コンサートでは、私はヴェルディのオペラ・アリアを2曲歌います。「リゴレット」からジルダの<慕わしい御名>、「椿姫」からヴィオレッタの<ああ、そは彼の人か>です。それぞれのアリアへの思いは、明日以降にお話しさせていただくことにいたしましょう。

菅 英三子

回転式ティンパニ2010/09/01 18:30

 竹内将也です。
 今日はこのティンパニについてご紹介しようと思います。私が仙台フィルの演奏会で度々使用する楽器です。

 この楽器は半世紀前まで、現在のNHK交響楽団の前身である日本交響楽団で使用されていました。(当時のティンパニ奏者小森宗太郎氏)。後に倉庫に眠っていたこの楽器は、廃棄処分を免れるかたちで私の師、有賀誠門先生が払い受けました。私はこの貴重な楽器をお預かりし、管理をさせて頂いています。

 いつ頃製造されたかはわかっていませんが、ある文献によるとアムステルダムのミュージシャンで発明家のJohann Stumpff(1770-1841)が1815年頃にこのタイプで全く同じデザインのティンパニを作っていますから、古ければ200年近く前の楽器と推定されます。ヨーロッパにはまだ同種のものが点在しているものとみられ、アメリカの全米打楽器教会博物館にも展示されています。

 ティンパニは銅で出来たお椀状の胴体の口に仔牛の皮をのせ、その皮をネジで締めて張っています。

 ティンパニはどういうわけか音程(ドレミ~)をハッキリと聞き分けることができます。皮の張り具合を調節することで音程を変えることができます。作曲家が作品の中で指定した音程に調節し、奏者は曲の途中で音程を変えなければなりません。

 その調節をするのに、ネジを直接締めたり緩めたりする方法がもともとのティンパニ「手締め式ティンパニ」なのですが、そのネジを棒でつないで足下のペダルで一括操作できるようにしたのが現代のペダル式ティンパニです。このペダル式ティンパニの発明によって作曲家はティンパニの音程をしょっちゅう変えさせるようになりました。オーケストラ作品のサウンドに大きな歴史的変化を与えています。

 一方、この写真のティンパニは、ペダル式が発明されるまでの過渡期に作られた「回転式」というものです。
 何が回転するかといいますと、なんと胴体自体が回転します。本体を支える支柱はネジ山になっており、本体をネジのように回転させることで、皮を張ったり緩めたりするという、画期的な方式なのです。

 そしてこの楽器のもう一つの特徴は、独特のサウンドです。この楽器が持つ非常にハッキリした発音と豊かな音色は、現代のティンパニには決して真似が出来ません。

 仙台フィルでは、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューマンの作品などで使用することがありますので、聴いてみてください。

                       竹内将也

日本での二ヶ月ほどの滞在のあと2010/09/01 19:46

日本での二ヶ月ほどの滞在のあと、イタリアの家へ戻ってきました。
日本も暑かったけれど、こちらも、なんじゃ!???この暑さはぁぁぁ!!!というかんじ。
ヨーロッパには珍しく、とても湿気が高い、だからとても暑く感じたのです。

こちらは、まだエアコンの普及はあまりありません。太陽の下はもちろん暑くても、 少し日陰へ入れば、さわやかに風が吹いてきて、涼しいのです。

早速、山へ避暑。。。
コンクリートに囲まれた生活、ついでにプラスティックにも囲まれた生活。
新国立劇場での稽古の日々は大変でも楽しく有意義な時間。ただ、私たちは常に地下にもぐりこんで、稽古。こんな都心の生活から山々を見上げて、見下ろして、緑の空の下、車を走らせてのドライブは最高!!! もう元気になっちゃう!!!

途中の山道、筋肉隆々の、プロの自転車の選手と遭遇。
私たちが湧き水の流れる蛇口のところで一休みしていたら、彼も喉を潤しにやつてきた。
美味しいお水で身体を潤しながら、彼のかっこいい自転車の話に。
およそ、90万円の自転車ですって!!!!
ッッホォォォォーー。。。。すごい。。。

たくさんの教会から、谷と谷に響きわたる鐘の音に癒されて、山々の木々、根っこがたくさんあって、気持ちよいなぁ、と自然を満喫してきました。

9月2日2010/09/02 15:19

今回はヴェルディのオペラ「リゴレット」の思い出をお話したいと思います。
「リゴレット」のジルダの役を初めて歌いましたのは、プラハ国立歌劇場。事前に一度舞台を見せてもらい、後は歌う前日に簡単な立ち稽古があり、当日に指揮者とアリアのテンポを口頭で打ち合わせてすぐに舞台に立つというスケジュールでした。第1幕の登場の際には、思いっきりドキドキしていたことをよく覚えています。劇場の事務局の方が数人見に来られていて、舞台袖から「エミコ、しっかり!」とエールを送ってくださったことも大切な思い出です。その後、アメリカのフロリダ・パームビーチ・オペラでも歌わせていただき、もっとも好きな役の一つとなりました。
初めての恋に震えるジルダの思いを込めて、このアリアを歌いたいと思っています。

菅 英三子

絵が楽譜に、天に向かって2010/09/02 18:33

 竹内将也です。
 昨年のせんくら2009では、「Rhythm & Beat」と題して映像を使用した音のつながりを試みました。

 コンピュータから幾何学的な模様が映像がプロジェクタで投影され、それはいろいろなパターンに変化していきます。

 マイクを通してその場の音がコンピュータに入力され、音が映像を変化させていく、という単純ながら効果の高いシステムです。

 私が演奏をしているところにこの映像を投影するだけでは普通なことですが、演奏者も映像を見ることができる状態で演奏することで、音楽と映像の間に相補的な関係が生まれます。

 自らが出した音によって変化した絵を見て、その絵が演奏者のイメージに影響を与え、出す音にさらに変化を与えていく。

 そしてこのシステムを来場者皆さんにも体験していただきました。木琴や太鼓、ティンパニ、トライアングルやタンバリンといった小物打楽器を実際に用いて、絵を見ながらやっていただくのです。

 そうしますとどのようなことが起こるかと言いますと、来場者の皆さんは映像を見ながら打楽器の音を出します。ご自身が映像に、ある働きかけをしながら音を出すので、サウンドに方向性が生まれます。ガチャガチャと何となく音を出すことがなくなり、うるさくないのです。

 演奏は、常にあるイメージを持ちながら行う、音楽と共にある、共にありたい作業であると私は思っています。ですからその響きにはある方向性があります。特に地球の重力と反対側の方向、そう、反重力の方向こそが響きわたると。

 この映像のシステムは、昨年のせんくら以来も数々の場所で行いました。特に娘達がお世話になっているご縁で、多くの仙台市保育所のコンサートで実際に子供達に体験してもらいました。

 その中で、忘れ得難い体験があります。
 私が静かな木琴の音楽を、この映像と共に演奏していた時です。子供達はこのシステムがどうやら自分たちの声でも反応することに氣がついたらしく、誰となく息を合わせて、映像に向かってとても元氣な声で「ワーッ!!」と出し始めたのです。

 普通ならば、大きな声で静かな音楽が聞こえなくなってしまうものですが、その時は私のマリンバの音楽と彼らの元気な声が、何とも言えない感覚で調和したのでした。母性的で穏やかなマリンバの音楽と子供の無垢で素直な声が、映像を通して繋がった瞬間でした。まさにこのとき、その映像が共通の楽譜となって、その場すべてを響かせたのです。

                       竹内将也