エレクトーンで挑む芸術の域2010/06/08 11:41

こんにちは!エレクトーンの神田将です。
昨年のブログでも話題にしましたが、今年初めてのお客様もいらっしゃると思いますので、私の音楽について、少しご紹介させて下さい。

私が演奏する楽器はエレクトーンです。初代エレクトーンが誕生してから、今年は51年目。最新の楽器はとても美しい音色を使って繊細な表現をすることができるようになりましたが、今でも多くの方がエレクトーンに対して古いイメージを持ったままです。そのため、エレクトーンでクラシックを演奏するといっても、ピンと来ない方が少なくないようです。エレクトーンはピアノと同様、さまざまなジャンルの音楽を演奏できる魅力的な楽器ですが、圧倒的にジャズやポピュラー向きだと考えられてきました。

実際、私もかつてはそう思っていました。でも、楽器は進化し続け、それを使う演奏家たちも試行錯誤を重ねた結果、エレクトーンで奏でる音楽は劇的な変貌を遂げました。こればっかりは実際に聞いていただくしかありませんが、エレクトーンで奏でる音楽に芸術的な価値が芽生えたことは、私がこうして「せんくら」にエントリーしている事実がひとつの証拠といえるでしょう。

ピアノからはピアノの音、バイオリンからはバイオリンの音が出るのは当然ですが、エレクトーンにはアイデンティティとなる固有の音色がありません。楽器を見ただけでは何の音がでるかまったくわからない、いわばビックリ箱です。
そして、あらゆる楽器の音をいくらリアルに出せても、所詮は機械による模倣の音。私は、このコンプレックスを脱するために、さまざまな努力を重ねました。

この機械の音にいかにして魂を宿すか。電気的に増幅された圧倒的な音を常に凌駕する精神性をいかにして注ぎこむか。そんな営みを繰り返すうちに、音の命について深く考えながら、「音」と「音楽」の違いに敏感になりました。

私は本来オーケストラで演奏される曲を、ほぼ原曲のニュアンスを保ったままに、ひとりで演奏します。その時、私は指揮者であり、楽団員ひとりひとりであり、同時にひとりの私自身でもあります。この喜びは言葉では表せませんが、皆さまの前で演奏する以上は、ひとりよがりで終わるわけにはいきません。まだまだ歴史が浅く、芸術としての完成形には程遠いかもしれませんが、お遊びや単なるオーケストラ風ではない、ひとりだからこそできる管弦楽曲の新しいスタイルとしてご注目いただければ嬉しいです。

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